銅は10月22日に2.68%下落し、4月以降5度の下値テストを支えていたサポートトレンドラインを割り込んだ。この下落は、ブルームバーグNEFが2050年に需要の44%に相当する供給不足を警告してから2日後のできごと。
一方で、同じ報告書は2026年の銅市場を供給超過と評価している。トレーダーは足元の供給余力を織り込んでおり、長期的な不足は反映されていない。
なぜ銅だけが例外なのか
ブルームバーグNEF(BNEF)は10月20日、年次のトランジションメタルに関する見通しを公表した。扱う10種のうち9種は、2050年までに十分な供給が見込まれる。
唯一の例外が銅である。BNEFは、2028年にも不足が始まり、2050年には2000万トンの供給ギャップが生じると予測。
需要は61%増となり、年間約4600万トンに達するとみられる。電動輸送機器だけでも需要は1140万トンを占める。
このギャップを埋めるには、新規鉱山開発に3320億ドルが必要。1つの鉱山が生産を開始するまでに要する期間は約17年になるとBNEFによる。
BNEF金属・鉱業部門責任者のマーティン・テンガー氏は、これを時期の問題と位置付けた。
「現在の課題は、世界全体で金属を十分に生産できるかどうかではなく、必要なタイミングと場所で適切な資源を確保できるかに移りつつある」
資源自体は存在する。米地質調査所(USGS)は世界の埋蔵量を約9億8000万トンと推定。
Copper needs $ 332bn of new mines.
— Jack Prandelli (@jackprandelli) October 20, 2026
Each one takes about 17 years to build.
Bloomberg new outlook sees a deficit starting in 2028 and widening to 20 million tonnes by 2050.
That’s about 44% of demand.
9 of the 10 transition metals it tracks now look covered. Copper is the odd… pic.twitter.com/fRAzWMLowS
なぜ銅価格は下落したのか
BNEF自体の価格スコアカードも、今後12カ月の銅市況を横ばいと見ている。
実需の流れもこれに同調する。ロンドン金属取引所(LME)の銅在庫は27万2950トンに達し、7月24日以来の高水準となったとロイターが報道。
新たな在庫の多くは米国倉庫に搬入された。米国の主要先物取引所であるCOMEXでは、LMEとの価格差(プレミアム)が消滅し、関税による優位も消えた格好。
証券会社マレックスの上級メタルストラテジスト、アラステア・マンロー氏はこの2点の関連を指摘した。
「…LME銅在庫の最近の増加は、COMEXプレミアムが納会接近で縮小した結果である」
生成AIに対する懸念を背景にハイテク株の売りが広がり、LME銅も5週間ぶりの安値に沈んだ。
銅の供給不足:XCU価格の今後は
今回の下げは、今週5度目のサポートテストで指摘されていたリスクを裏付けた形。
割り込んだトレンドラインは上昇ウェッジ型の下値支持線を形成していた。このパターンは下方向への突破が多い。下落時には売買高も増加。
この間、銅は6.70ドル付近のレジスタンスでも反落。モメンタム指標であるRSI(相対力指数)も3月以来のサポートラインを割った。
現在銅は1ポンドあたり6.51ドル付近で推移。9月の過去最高値から約6%下落している。上値抵抗は6.56ドル、さらに切られたトレンドライン付近の6.64ドル付近。
下値では、フィボナッチ0.382の6.31ドルが最初のターゲットか。さらに底堅い支持は6.11ドルや5.91ドル。
ただし、日足で再びトレンドラインを回復すれば弱気の形成は後退する。
現状、銅価格は2028年の供給不足ではなく、きょうの余剰分を反映した値動き。最大の焦点は3320億ドルの新規鉱山開発が間に合うかどうか。
jp.beincrypto.com でJakub Dziadkowiecによるオリジナル記事 44%不足警告も銅価格下落の背景 を読む