ヘリウム(HNT)は週末に最大で167%急騰し、本稿執筆時点で日中高値0.989ドルを記録した。出遅れたトレーダーからは、今からHNTを買うのは遅すぎるかという声も上がっている。
今回の急騰は買い手によるものではなく、売り手が強制的に退出させられたことが要因である。
なぜ忘れ去られたトークンが急騰したのか
ヘリウムは無線ネットワークを運営している。一般ユーザーが自宅や店舗にハードウェアを設置し運用する。業界ではこの仕組みを分散型物理インフラ「DePIN」と呼ぶ。
引き金となったのは、BeInCryptoが土曜日に報じたテキサスでのWi-Fi展開だった。反応はニュース自体を上回った。HNT価格は夏の間0.30ドルを下回っていたが、週末で約170%上昇した。ヘリウムは一貫して実ユーザーの獲得を訴えてきた。
2025年4月、開発元のノバラボは、SEC(米証券取引委員会)と和解し20万ドルを支払った。規制当局は、同社がライム、ネスレ、セールスフォースがネットワークを利用していると誤って主張していたとした。この訴訟は株式投資家への説明に関するもので、トークン自体に対するものではない。
チャートが示す実態
HNT価格は一本調子で上昇したわけではない。2段階で上昇し、0.33ドルから0.45ドルへ一晩で上げた。その後、午前9時までに0.70ドルまで急騰し、4時間停滞した。午後3時から第2波が来て0.9782ドルまで上昇した。
HNT出来高の見通し一時的な停滞では強制的な買いも途切れた。いまは出来高が主役である。日足チャートでは、過去2年間で最も高い棒となっている。過去のピークは4500万ドル程度だったが、今回は1億1000万ドルを超えた。2023年以来の水準である。
合計で2億4826万ドルが売買された。トークン全体の時価総額は1億5480万ドル程度だ。1日で複数回転している計算になる。いまHNTを保有する投資家のほとんどは、この週末に高値圏で購入したことになる。
HNTの清算一部のトレーダーはHNTの下落に賭け、トークンを借りて売却し、安値で買い戻す計画だった。だが価格は上昇し、損失が拡大した。取引所は彼らのポジションを強制的に清算し、市場価格でトークンを買い戻した。
Coinglassによると、日曜日だけでショートポジション約150万ドル分が強制清算された。週末全体では160万ドルを超えた。清算前はほぼ動きがなかった。上昇に賭けていた投資家の損失は19万6650ドルだった。
強制的な建玉解消はすべて買い注文である。新規買い手が増えずとも価格が上昇した理由だ。いわゆるショートスクイーズ(売り方の踏み上げ)である。
HNT資金調達率次は資金調達率である。5つの指標のなかで最も明確なチャートだ。これらの市場では数時間ごとに片方の参加者がもう一方に少額の手数料を支払う。
この8カ月間、資金調達率はゼロ付近で安定していた。だが週末に一気にマイナス1.2%を下回った。現在、HNTの下落に賭ける投資家が上昇に賭ける側へ手数料を支払っている。
「BybitのHNT-PERP資金調達率は直近でマイナス1000%近くに達した。6000万ドル規模の時価総額、実ユーザーがいるトークンで、あと150%上昇してもテクニカル的な抵抗はない。過去最高値から99%下落中。スポット供給がなく、ショート勢が非常に高額の資金調達負担を背負い込んでいる」と、あるトレーダーは指摘した。
最後は未決済建玉(オープン・インタレスト)である。これはHNT価格を巡るロングおよびショートの建玉全体を示したものだ。
197.6%急増し1364万ドルを記録、約1年ぶりの高水準となった。建玉が解消されるとこの数字は減るが、今回は逆に3倍近く増加している。
降伏する様子は見られず、新たな資金がHNTの先物市場に流入し、新規契約が作られている状況。決済されても、その分を上回るペースで新規契約が生まれている。
HNT価格の上昇に加え、建玉(オープンインタレスト)が増加し続けていることは、強い上昇傾向を示す。これは、レバレッジをかけた買い意欲が爆発的に高まる中で、確信度の高い強気なブレイクアウトが生じている証左。
HNT購入はもう遅いのか
ショートスクイーズはすでに沈静化の兆し。HNTは0.989ドルでピークをつけた後、現在は0.88ドル前後で推移している。強制的な買い戻しはほぼ止まっている。本稿執筆時点で直近1時間に清算された弱気ポジションは2万2920ドル分にとどまり、1日では161万ドルに上る。
このような局面を注視するトレーダーは、建玉が急騰した場合、参入ではなく警戒のサインと見る傾向がある。ポジションが偏り過ぎているため、急落すれば大量の強制清算が逆方向に連鎖する恐れ。
彼らが待つのは、建玉が横ばい、もしくはわずかに減少し、なおかつ価格が維持されるパターン。この組み合わせが見られれば、レバレッジによる一過性の上昇ではなく、市場が高値水準を許容した証拠とみなされる。
次の指標が資金調達率(ファンディング)であり、HNTでは通常と逆の動き。買いが過熱する場合は通常、資金調達率が大幅にプラスとなる。しかし今回は大きくマイナスで、依然として多くの市場参加者がショートを維持し、そのコストを負担している。
資金調達率がゼロへ戻れば、こうしたショートポジションが決済された、もしくは放棄されたことを意味。その段階で強制清算による買いは止まり、今後は通常の需要で価格が維持されることになる。
供給面では保有者に有利な材料もあるが、注意点も存在。これまでミントされたすべてのHNTはすでに流通しており、ロック解除待ちのブロックはない。一方で、発行上限2億2300万枚に向け、3700万枚が今後追加発行される予定。
資金調達率がゼロに戻れば、通常の需要だけでヘリウムの価格推移を維持できるかが問われる。いま買う投資家は、初回ではなく2回目のショートスクイーズに賭けている形となる。
jp.beincrypto.com でLockridge Okothによるオリジナル記事 ヘリウムが週末に170%急騰、HNTは今から買うべきか を読む