米財務省は、個人の暗号資産ウォレットを追跡する計画を撤回した。この計画が実施されていれば、銀行や暗号資産取引所に対し、3000ドルを超える送金の記録保存と1万ドルを超える取引の報告が義務付けられるはずだった。
財務省のマネーロンダリング対策機関である金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は、2020年の提案については今後措置を講じないと明らかにした。同日、暗号資産のミキシングを対象とした第2の計画も撤回した。
暗号資産のプライバシー確保へ
個人用、いわゆる「アンホステッド」ウォレットとは、利用者自身がコインを銀行や取引所に預けず保管するアプリやデバイスを指す。
2020年の提案では、企業に対して顧客確認の実施と、上記ウォレットを使った取引が3000ドルを超えた場合の記録保存が求められていた。
1万ドル超あるいは24時間以内に累計で1万ドルを超える送金は、FinCENへの報告が義務付けられる内容だった。
この規則は実施されなかった。FinCENの公示によれば、今回の撤回はデジタル資産規制を「目的適合型」とするためであるとし、2025年7月のホワイトハウスによる暗号資産報告書を根拠としている。
「トランプ政権は、正当な利用者がパブリックブロックチェーン上でプライバシーを持ってデジタル資産を取引できる権利を支持する」と、FinCENの報告書抜粋は記している。
撤回は10月6日の連邦官報での公示と同時に発効する。
なぜ暗号資産ミキサーは依然として注視されるか
FinCENは2023年のミキシング計画も撤回した。ミキシングは、多数の利用者のコインを混ぜることで資金の出所を隠す仕組み。企業は外国と関係する疑わしいミキシングを報告する必要があった。
これまで財務省の規制方針には同ルールが2027年12月の最終化予定として掲載されていた。
FinCENは、意見募集でミキシングの定義が正当な活動を萎縮させかねないと警告されたと説明。一方で、違法グループが引き続きミキサーを利用している実情を指摘し、今後も対応の可能性を示唆した。
検察当局も裁判でこの問題を追及している。開発者のロマン・ストーム被告は、イーサリアム基盤のミキシングサービス「トルネードキャッシュ」を巡り、2027年4月に再審理を控える。
疑わしい取引報告や制裁スクリーニングなど既存の義務は引き続き有効である。一方、ビットコインの送金はすべてパブリック台帳に記録され、ウォレットの支払い履歴は追跡可能な状況に変わりない。
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