25年もの間、インターネットのセキュリティを担保してきた数学に関して「NSA(米国家安全保障局)が秘密裏に解読手段を作り上げていたのでは」という疑念がつきまとってきた。その理論は、AIモデルによって弱まった可能性がある。ここにきてビットコインの創設者も議論の一端を担う形となっている。
金曜日に、Anthropicが発表したところによると、同社のAIモデル「Claude」が、暗号研究者たちを数十年にわたり悩ませてきた謎を、30分足らずで解明した。
ClaudeがNSAについて解明したこと
論争の的となったのは、楕円曲線と呼ばれる数学的手法である。これは秘密鍵を公開せずにデジタル署名を検証するために使われている。
2000年、米国標準技術研究所(NIST)は、NSAから提供された初期値を含む複数の楕円曲線を標準に採用した。
これらの初期値がどこから来たものかは、誰によっても説明されてこなかった。研究者たちは、NSAが意図的に隠れた弱点、すなわちバックドアを仕込むため、これらの値を選んだ可能性を懸念していた。
CLAUDE FOUND THE SEEDS https://t.co/m8N6OPQoCQ
— Steve Weis (@sweis) October 16, 2026
Claudeは、5種類の初期値が、1997年と1998年のクロックタイムを用いた通常のコンピュータプログラムで、見かけ上ランダムな値として生成されていたことを突き止めた。
現在、誰でも同じ結果を再現できるようになった。
「実際、この事実によって、これらの楕円曲線がバックドアや意図的な脆弱性なしで選ばれたとの確信が強まった」とAnthropicは述べている。
この発見には3万6,864ドルの懸賞金が与えられ、全額が慈善団体に寄付される予定。
ただし、なぜ一部の値が採用されなかったのかなど、いくつかの疑問は依然として残る。今回の発見により意図的な操作の可能性は低くなったものの、完全には否定できていない。
サトシはNSAの楕円曲線を避けて失策だったのか
ビットコインが採用したのは「secp256k1」と呼ばれる別の曲線だ。この設計はシンプルかつ公開された値を基にしており、疑わしい選択が隠される余地はほとんどない。
サトシ・ナカモトは、その理由を公に説明したことはない。
2013年のエドワード・スノーデン氏によるリークで、NSAが別の暗号標準の弱体化を企図していたことが判明し、ビットコインが取ったアプローチの信頼性が高まった。
Ledgerの共同創業者ニコラ・バッカ氏は「サトシにチェックメイト」と反応し、業界はNSAの楕円曲線を避け、むしろ複雑な代替案を選択したと主張した。
Yes but we lost so much time to end up on a more complex curve ... which was the joke
— Nicolas Bacca (@BTChip) October 16, 2026
Blockstreamのアダム・バックCEOはこれに反論し、NSAが選択理由を説明しなかったことを批判した。
ビットコイン保有者にとって現実的な結論は単純である。何も変わっていない。
Claudeはビットコインにおける脆弱性を発見できなかった。基盤となる暗号技術は、現時点で知られている現実的な攻撃に対して依然として堅牢である。
That's NSA fault for not revealing through reproducible steps to generate their NIST published curves.
— Adam Back (@adam3us) October 17, 2026
ただし、長期的な最大の課題は量子コンピューティングが挙げられる。将来的にビットコインや従来の暗号技術双方の脅威になる可能性がある。
jp.beincrypto.com でPhil Haunhorstによるオリジナル記事 サトシのビットコイン設計に誤りか クロードのNSA発見で議論 を読む