イーサリアム共同創業者のヴィタリック・ブテリン氏は、「イーサリアム向けゼロ知識証明の高速化競争は終わった。今後はセキュリティが最優先課題となる」と述べた。同氏の発言は、ZKsyncが1台のグラフィックカードでリアルタイム証明を達成したと主張したことを受けてのもの。
ZKsyncの新しいAirbender Primeプローバーは、連続7200個のメインネットブロックに対し、99%の証明を10秒未満で生成した。ただし、この数値はZKsync独自の評価によるもの。
なぜイーサリアムで証明の高速化が重要なのか
現在、イーサリアムのバリデーターは各ブロックの全トランザクションを再実行して検証している。ゼロ知識(ZK)証明を活用すれば、計算の正当性が証明されるため、短い証明の検証のみで済む。
この転換によって、ブロックごとにバリデーターが行う作業量を減らせる。イーサリアムは12秒ごとにブロックを生成しているが、ZKsyncによるとサンプル内の全ブロックで証明作成に12秒以上かかった例はなかった。
ZKsyncによれば、ETHproofsという公開プローバーランキングで、Airbender Prime が平均証明時間で首位となっているという。また、ハードウェア要件の引き下げがより多くの機関や独立系事業者の参加を可能にすると主張。
「現時点でスピード競争には最終的な決着がついた。今後はzkEVMの最優先課題を完全にセキュリティへ移すべきだと考えている」
イーサリアム共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏、Xにて
Big congratulations to the @zksync airbender team for this milestone.
— vitalik.eth (@VitalikButerin) October 15, 2026
At this point, I consider the battle for speed to be definitively won, and the top priority for zkEVMs should shift fully to security.
To me that means formally verifying
(i) equivalence of the…
スピード以外にも、ブテリン氏はzkEVM(イーサリアムの実行を証明するシステム)に対する3つの要件を挙げた。イーサリアムの仕様と一致すること、ブロックのガスに対してプローバーコストを抑えること、正当な証明システムに基づくことの3点である。
同氏はこれら要件について、テストのみでなく数学的に証明された「形式的検証」も求めている。
証明の高速化はイーサリアム価格に影響を与えるか
直接的な影響はない。Airbender PrimeはZKsyncのツールであり、イーサリアムのプロトコル自体の変更ではない。イーサリアム(ETH)の供給、手数料、ステーキング報酬も変化しない。
むしろ、価格への影響は、今後の開発ロードマップに対するセンチメントやマクロ経済、資金フローといった要因を通じて現れると考えられる。
とはいえ、より重要なのは信頼性だ。ZKsyncは、銀行にこの技術を提案しており、万が一サーバーがハッキングされても不正な台帳更新は証明できないと説明している。
したがって、高速だが欠陥のあるプローバーでは、この信頼性が損なわれる。今後は形式的検証や監査が、イーサリアムがどのzkEVMを信頼できるかを左右しそうだ。
jp.beincrypto.com でDarryn Pollockによるオリジナル記事 ヴィタリック氏、イーサリアムのZK競争終結とETHへの影響 を読む